記者解説 編集委員・原真人
日本人は世界のなかで相対的に貧しくなった。国民の豊かさを示す代表的な指標である1人当たり国内総生産(GDP)のランキングからも落ち目なのは明らかだ。
2000年に2位だった順位は第2次安倍政権のころになると円安が進んで20位台まで下がり、23年にはついに過去半世紀で最低の34位となった。これではもはや「世界屈指の豊かな国」とは言えそうもない。
この7月、円は一時1ドル=162円近くまで下がり、37年半ぶりの円安水準となった。その後140円台まで戻したが、コロナショック前の水準には届かない。底流にあるのは世界の中の日本の相対的な地位低下だろう。
日本経済の戦後80年は二つに分けられる。高みをめざして上り続けた時代と、ゆっくりと下りゆく今に続く時代だ。
ポイント
1人当たりGDPが世界34位となった日本は、かつてのような豊かな国とは言えない。下り坂をゆっくり進んでいることを認められず、経済大国の感覚にとらわれている。人口減を見据え、身の丈にあった社会保障や防衛、インフラのあり方を考えるべきだ。
前半は「日本の奇跡」と呼ば…